SURFACE 『WARM』 (2003)

収録曲
01. なまくらジャック
02. 雫
03. アイムファインセンキューアンジュー?
04. ろくでなし
05. 食卓
06. きっと
07. こんなんだったっけ
08. NEWS
09. 歌
10. 闇の感情
11. Y字路
12. リミット
13. スチームミルク

※サブスク配信はなし。ダウンロード購入は可。

 

『歌』、『NEWS』、『アイムファインセンキューアンジュー?』といった3枚のシングルを含む4thフルアルバム。

前作『ROOT』までのポップでファンキーで楽しくて...という様子はすっかり消え去って、歪みまくったエレキギターがひたすらに唸りをあげるバッキングがクールさ極まっているという音像が特徴的な今作。収録曲の概ねが大なり小なり憂いを帯びており、これまでに積み上げてきたイメージを壊したかったのか?ホーン隊を雇う予算がなかったのか?路線変更か?なんて邪推してしまいそうになるほどにSURFACEディスコグラフィーにおいては異彩を放ちまくっているのですが、椎名くんのブログによるとこのタイミングでふたりがSURFACEとして挑戦したかったのがこの音であったそう。それを前提に聴くと、納得がいくという感じも。当時の心境を吐き出すような赤裸々な歌詞に感じられる椎名くん、ひいてはSURFACEふたりの等身大さはこの生々しい音だからこそ、と感じられます。

2005年以降、ソニーへ移籍してリスタートを切ることになるふたりですが、その際、エイトビート感が強いストレートなバンドサウンドを音楽性の軸に据えるようになります。その様子には、今作『WARM』で鳴らしたバンドサウンドでなにかを掴んだことで後につながるものがあったというように思えて、異色作である今作もSURFACEの歴史の中において大きな意味を持っていると感じられるものがあります。

個人的にはSURFACE史上もっとも好きなアルバムなのですが、このひとつの路線を心ゆくまでやり切っているという感がたまらないんですよね。それが自分がだいすきなエレキギターが前に出てきているというサウンドであることで尚更。この雰囲気でもう1枚くらいアルバムを聴きたかったくらいの感じは正直あります。

 

favorite→『雫』 / アイムファインセンキューアンジュー?』 / 『リミット』