WANDS 『PIECE OF MY SOUL』 (1995)

収録曲
01. FLOWER
02. Love & Hate
03. 世界が終るまでは...
04. DON'T TRY SO HARD
05. Crazy Cat
06. Secret Night ~It's My Treat~
07. Foolish OK
08. PIECE OF MY SOUL
09. Jumpin' Jack Boy
10. MILLION MILES AWAY

※サブスク含め未配信

 

TVアニメ『SLAM DUNK』のEDテーマとして起用されミリオンヒットを飛ばしたシングル曲『世界が終るまでは...』などを収録した4thアルバム。

楽曲によってディストーションギターが前面に出てくることでハードロックがバックグラウンドにあることを感じさせながらも、あくまでもポップグループの範疇として納まる音楽性で活動を続けてきていたWANDSでしたが、キャッチーながらもその実ストイックなハードロックサウンドが炸裂する『世界が終るまでは...』のヒットを契機に、そのサウンドは一気に様変わりを果たすことに

これまで耐え忍びながらポップスターの役割を担ってきた上杉さんがここで目指したのは敬愛するNirvanaをはじめとした海外のオルタナティブロックバンド直系のサウンド。そのヘヴィなサウンドは過去の楽曲とはまさに一線を画すものとなっており、リアルタイムで聴いていたら相当驚いただろうなというくらいです。とはいえ、モロにそれをやっているというのは1曲目の『FLOWER』だけで、あとの曲のメロディー自体は従来のWANDSの延長線上にあるという仕上がり。シングル曲と木村さん作の『MILLION MILES AWAY』を除くすべての楽曲をGt.柴崎さんが手掛けていることから、今作からは彼のポップ志向やバランス感覚が伺えるというところもあります(そういったところは、WANDS脱退後の上杉と柴崎が結成したal.ni.coがあまりにオルタナ極振りすぎて柴崎さんがついていけずシングル3枚、アルバム1枚を残し解散することになったというトピックにつながっていく感じもあります...)。

かなり時間をかけて制作したというエピソードからも、今作にかけるメンバーの情熱はひしひしと感じられるのですが、悲しいかなWANDSが世に植え付けたイメージはあまりに大きすぎました。結局この路線は所属事務所と既存のファンに受け入れられることはなく、この後2枚のシングルを残して上杉さんと柴崎さんが脱退。第2期WANDSは終焉を迎えることとなりました。

実質の後継であるal.ni.coも好きではあるのですが、今作と『Same Side』、『WORST CRIME〜About a rock star who was a swindler〜』があまりにも良いためにこのままでWANDSが続いていたらというifをどうしても想像してしまいますね...。「そうはならなかった」という儚さも含めた刹那の煌めきがあるようなそんな1枚です。

 

favorite→『FLOWER』 / 『Love & Hate』 / 『MILLION MILES AWAY』