B'z 『LOOSE』 (1995)

 

300万枚以上もの売り上げを記録し、オリジナルアルバムとしてはB'z史上最大のヒットとなった8thフルアルバム。

前作『The 7th Blues』、続くシングル『MOTEL』、そしてそれにまつわるストイックな長尺ライブツアー(ついでにビジュアル)はB'zの志しているものがロックミュージック、そしてロックバンドであるということを声高に宣言するような内容となっており、ポップグループとして受け入れられていた彼らのイメージを大幅に拡張・更新した上で、バンドの音も格段に生々しさを獲得することとなりました。

そういった、ロックバンドとしてのアイデンティティーを確立するかのような一年を経た上で、今一度自分たちの打ち立ててきたポップミュージックと向き合ったスタジアムツアー『B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"』以降のモードが反映されるように、強度が高く、それでいて風通しの良いロックサウンドが鳴っているのが本作『LOOSE』です。

そんな今作では、「B'zは2人」という原点に立ち返るという意識(1曲目とシークレットトラックにはそれが強く感じられます)の元、稲葉さんと松本さんが主となって楽曲のアレンジを行っているのですが、前作以前に比べてアプローチが格段に多彩に。ことロックチューンにおいてはそれが顕著で、過度にルーツに忠実な瞬間も多々見られたそれまでと比べて、今作のそれは現在にまで繋がるようなまさにB'z的であるというものです。歌謡性とスケールの大きいハードロックサウンドとやたら湿度が高い歌詞の組み合わせを基にした黄金比率が今作を以てひな形の完成を見たのであると思います。

中盤に置かれたLOVE PHANTOM』がピークになりすぎてしまっている(終盤にもう1曲くらいシングルがあれば...)ことや、そもそもその『LOVE PHANTOM』自体がその完成度の高さゆえに若干浮いていることなどから、アルバムとして完璧なバランスだと手放しに言える内容では必ずしもないとは思いますが、とはいえ、当時のB'zの勢いがこれほどか!というくらいに含有されていることや、割と早い段階で手に取ったオリジナルアルバムだという個人的な思い入れもあって、B'zと言えばコレ!といううちの1枚であるという印象があります。

 

favorite→『ザ・ルーズ』 / 『ねがい ("BUZZ!!" STYLE)』 / 『キレイな愛じゃなくても』