夜の本気ダンス 『DANCE TIME』 (2014)

 

京都出身の4人組ロックバンドによる1stフルアルバム。

KANA-BOONゲスの極み乙女。KEYTALKなどのブレイクが契機となって四つ打ちを取り入れた踊れるロックが跋扈しまくっていた2010年代のロックシーンにおいて、このバンド名では注目されるのは必然ということで、前作収録の『B!tch』をきっかけにシーンにおける存在感を一気に高めていたのがこの時期の夜の本気ダンス(以下、夜ダン)です。

海外のロックバンド、またそれに影響を受けた国内のロックバンド(the telephonesDOPING PANDAなど)に連なる存在であるということを感じさせる垢抜けたダンスロックサウンドとメロディーが印象的......ということで、リリース時期が近い前作『DANCE STEP』とは兄弟のような近しさがある今作ではありますが、ライブ活動のなかで得られたであろう熱が確実に作品に還元されており、とくにキラーチューンが連発する前半の展開は超怒涛。夜ダン必殺とも言える、ひとつのフレーズを何度も何度も繰り返す必殺のサビメロや超印象的なギターリフ、ダンサブル極まりないビートなどを代表に、問答無用のキレの良さを持っています(ある意味で一辺倒さはあるっちゃあるのですがそこは勢いでカバーしきっていてそれがまたスゴい)。

一方、リリース当時は、自分自身シーンの流行りの影響をおおいに受けていたために、後半の『Stand by you』や『Bob Dance Bob』というようなミディアムテンポの楽曲がピンと来ないというところもあったのですが、今あらためて聴くとどちらもバンドのルーツを思わせるようなメロディーの美しさ(歌謡曲的でないのが夜ダンの強みのひとつであると思います)がよく出ていて味わい深い楽曲ですし、こうしたところにはコロナ禍以降だからこそピタッとハマってきたという感じも個人的にはあります。ということで、今となっては今作は徹頭徹尾好きであるってことです...。

以上のことから、夜ダン史において(そしてこの時期の邦ロックシーンにおいても)、まさに決定盤と言えるような圧倒的な内容だと思っているのですが、あまりにも洗練され切っていたばかりに「騒げたらいい踊れたらいい」という悪い需要とマッチしすぎてしまい、当時はそれがバンドの足枷になっていたという印象もあったり...。

何はともあれ、大名盤であることは間違いないという1枚です。

 

favorite→『WHERE?』 / 『You gotta move』 / 『Only Seventeen