約9か月ぶりにリリースされた3rdミニアルバム。
前作『sonor』ではバンドの音楽性が一歩前進したということが感じられたのですが、今作ではそこからさらに大胆に殻を破り、04 Limited Sazabys(以下、フォーリミ)にとってエポックメイキングな作品となりました。
パンクと言えば英詞ということもあったのでしょう、フォーリミはこれまで殆ど日本語を使ってこなかったのですが、『Now here, No Where』で感じたであろう手ごたえを糧に、今作ではほとんどの楽曲が日本語詞になっています。これによりGENくんのポップな言語感覚が強く感じられるのですが、その中でも素晴らしいのが『monolith』。先述の『Now here, Now where』の歌詞とも連なる、マイナスからプラスへ向かうような強い意志を持った歌詞がバンドにとっても金字塔レベルのものです。
そして、そんな歌詞に引っ張られるように、メロディーやアレンジもより圧倒的なポップネスを孕みはじめ、曲によってはもはやパンクという枠組みすら超えるようなキャッチーさに到達。とくに『nem...』や『Chicken race』に見られるダンサブルなビートと超キャッチーなメロディーの組み合わせなんかは当時盛り上がっていた邦ロックシーンとも共鳴していくようなものです。
そうやってジャンルのボーダーすらも越えることを可能にしたGENくんの声の訴求力の高さたるや、というところなのですが、とはいえ、フォーリミはあくまでもパンクバンド。そうやってキャッチーになりつつも、しっかりパンクロック、またメロコアなサウンドが根本にあるということをしっかり感じさせる絶妙なバランス感覚が今作の魅力であると思います。
この時点でフォーリミの基本路線は既に完成しているというのがあまりにスゴい、そんな初期の名盤です。
favorite→『monolith』 / 『Chicken race』 / 『hello』