岸田教団&THE明星ロケッツ 『セブンスワールド』 (2012)

 

岸田教団&THE明星ロケッツ(以下、岸田教団)名義では、『LITERAL WORLD』以来2作目となる、オリジナル曲のみを収録したアルバム。

岸田教団の音楽性というのは、メジャーであっても同人であっても、またオリジナルであっても東方アレンジであっても、大きく変わることはない太い一本筋を持ったオルタナティブギターロックスタイルなのですが、今作もそれでありながらいつになくエモーショナルかつアッパーな仕上がりとなっています。

同人時代からの盟友イガラシさん(ヒトリエ)が提供した『群青』にはじまり、性急なビートが強力な『CircleEnd』と『セブンスワールド』、むきだしの感情がこめられた『Colorful』......と、実質のアルバム最終曲である『11月』に辿り着くまで、ひたすらに前のめりに突っ込んでいくような内容岸田教団でここまで振り切ったものというのは他にないように思うのですが、wowakaさんが亡くなったことが発表された日に岸田さんが「セブンスワールド作るときにかなり影響受けたんだよ、、、」と明かしており、今作はwowakaさんの楽曲の影響を受けているようです。そう言われるとたしかに、共通する部分があるなあと合点がいくところもありますね(このことから当時のインターネット音楽シーンにおけるwowakaさんの存在感というのがあまりに圧倒的であったということが改めて感じられるというところもあったり)。

とはいえ、そう言われて初めてたしかにとようやく思うほどにこの上なくしっかりと岸田教団でしかない音としてアウトプットされているため、リファレンスをひとつの要素として昇華してしまえるほどの岸田教団のサウンドの個性の強さというのを何より思い知るというところです。

なんにせよ、岸田教団のディスコグラフィーでも最大級の熱量を持ったアルバムで、まず薦めるならコレ!なんて言いたいくらいに良い内容になっていると思います。

 

favorite→『群青』 / 『CircleEnd』 / 『Rewriter』