ヒトリエ 『4』 (2020)

 

ヒトリエ初となるベストアルバム。

バンドの絶対的核であったwowakaさんを失うという耐え難い出来事が起きながらも、それでも歩みを止めずひたすらにライブ出演に勤しんできたヒトリエでしたが、ここで4人時代のヒトリエを一度統括するという目的の元、ベスト盤をリリース。これが今作『4』です。

これまでリリースしてきたCDからシングル曲やリード曲を中心にして満遍なく選曲がされた上で時系列で並べられているという、バンドのアンサンブルの進化と深化の過程がまさに現れている内容で、ヒトリエ知名度と注目度が急激に高まったこのタイミングにおいてはこの上ないものであったと思います。

それでいて、ローリンガール』のセルフカバー音源や、COUNTDOWN JAPAN 18/19でのライブ映像が収録されているために既存ファンにとっても手に取らない理由がなかったことで、wowakaさんが逝去直後に大きく売り上げを伸ばした『HOWLS』に次ぐ、好セールスを叩きだすこととなりました。

ただ、ヒット自体はしたものの、流行り病によって社会が混迷を極めていたタイミングのリリースであったということがあり、発売そのものの延期や今作にまつわるバンド史上最大規模のリリースツアー(EX THEATER ROPPONGIでの2デイズ公演を含む)が延期になった末に全公演中止という度々の憂き目に遭うという出来事も。ここで何事もなければ、ヒトリエは2024年現在もっと大きなバンドになっていたのかもしれない...なんて思うくらいにはこのベストアルバムリリース時期は方々から求められまくっていたような気がします。この辺の様子に関しては、思うところもありましたがここでは割愛。

今作については、リリース当時、ベスト盤を出す意味と意義がちゃんとあると理解していながらも肯定的になれなかったのを覚えています。4人体制時代のヒトリエの曲が収録されているアルバムなのにwowakaさんの手が入っていない(それは仕方ないことなのですが...)こととか、そもそもwowakaさんとヒトリエの歩みって1枚や2枚で纏め切れるものなのか?なんてことが引っかかったりして。それに『ルームシック・ガールズエスケープ』と『IKI』、『ai/SOlate』、『HOWLS』あたりは、かいつまむよりもアルバム単位で聴いた方がずっと伝わるはずだと思うところもあったり...。

さすがに今となっては、肯定とかなんとかそういう観点でどうこう思うことはないのですが、先に書いたようにオリジナルアルバムへの思い入れがありすぎるために、実際今作を聴くことがあるかと言うと...。ただライブ映像は未だに観ます。これがあったから、ヒトリエを好きになったんだと、何度観ても新鮮に思える映像で最高です

 

favorite→『ローリンガール 2016.2.18 at 下北沢GARDEN』