ネクライトーキー『MEMORIES』 (2019)

 

前作『ONE!』から9か月弱という速さでリリースされた1stミニアルバム。

今作は、バンドのメインソングライターである朝日さんが、石風呂名義で発表していたボカロ曲のセルフカバーを1枚にコンパイルしたという内容です。

これらの楽曲は2017年のバンド結成以降ライブでも演奏され続けていたものばかりということで、ライブで鍛え上げられてきた熱気そのままに録音されているというのが如実にわかるほどに勢いあふれているのですが、この様子にはネクライトーキーとしてのグルーブがすでに形になっていることや、石風呂楽曲がライブという場において現在進行形のものになったということが感じられて、(チープな言い方ながら)胸が熱くなります。

そして、こういった内容のアルバムをこのタイミングで出したことにより、ネクライトーキーはコンテンポラリーな生活(以下、コンポラ)よりも石風呂の延長線上にあるということもわかり、ある意味でこの時点でのバンドが向かう方向がひとつ改めて指し示されているようにも感じなくもなかったり。スリーピースロックバンドという制約があるがゆえに研ぎ澄まされたサウンドを持つコンポラに対しての、自由度が高くてキャッチーなネクライトーキー、また『ティーンエイジ・"ネクラ"ポップ』の先にある"ネクラ"イトーキーと言いますか。

そういうわけで、セルフカバー盤でありながらもちゃんとネクライトーキーでしかない音が鳴っているということで、素直にスッと入ってくるような、そんな仕上がりのミニアルバムになっていると思います。

アートワークと気持ちの入ったボーカリゼーションからは、もっさの石風呂愛(元々ファンだった)も強く感じられてナイス。

 

favorite→『音楽が嫌いな女の子』 / 『夕暮れ先生』 / 『ティーンエイジ・ネクラポップ